中高年男性に起こる問題の一つとして、男性更年期障害が挙げられます。更年期障害というと、女性だけに生じる特別な病気だと思っている人も多いと思います。しかし実際には、中高年男性であっても女性と同じように更年期障害と呼ばれるものが起こります。

そして中高年男性に起こる更年期障害の原因は、女性と同じようにホルモン分泌が少なくなることにあります。男性ホルモンというと、男性機能(生殖機能)に関する作用ばかり考えがちですが、実際には体にとってさまざまな役割があります。そのため、男性ホルモンが減ると、体にはさまざまな症状が出現します。

そこで今回は、中高年男性において男性ホルモンが減ることで起こる症状について述べます。こうした症状としては、異常発汗やうつ病、薄毛、ED(勃起不全)などがあります。

異常発汗

「急に汗かきになった」「何もしていないのに汗が出てくる」といった症状は、中高年女性における更年期障害の症状としてよく知られるものです。そのような発汗は、清潔感のある汗ではありません。そしてそのような異常発汗は、中高年の男性にも起こります。

夏であれば、大量の発汗があっても普通です。しかし、中高年男性で男性ホルモンの分泌が低下している人は、冬でも顔やわきの下などに異常な汗をかくようになります。

また緊張する場面では、多くの人が汗をかきやすくなりますが、慣れた人と会話をするなどの日常的なことではそんなに大量の汗が出ることはありません。一方で男性ホルモンの分泌が少なくなっていると、家族や身内、同僚と会話するといったようなことであっても、急に異常発汗が起こることがあります。

これが、そのように身内の前であれば問題ありませんが、中高年の男性には、職場の立場が高い人が多いです。そのため、重要な商談や会議に出る人も少なくありません。そのような大切な場面で異常な発汗があると、重大なミスにつながりかねません。

このような異常発汗は、男性ホルモンの分泌が低下し、自律神経の働きが乱されることで起こります

自律神経とは、無意識下で心臓や肺、胃腸といった内臓の働きをコントロールする神経です。その他にも、体温や呼吸、脈拍、血圧、発汗にも関係しています。この自律神経は、男性ホルモンと深い関係にあります。そのため、中高年男性いで男性ホルモンの分泌が低下している人は、自律神経のバランスも崩れてしまいます。

その結果、異常な発汗を中心とした自律神経症状と呼ばれる多彩な症状が出現します。このように、中高年男性におけるよくわからない体の不調は、男性ホルモンの影響によるものであることも少なくありません。

うつ

また中高年男性で大きな問題の一つとして挙げられるのが、「うつ」です。特に仕事で重要な立場に立ち、ストレスを受けやすい中高年男性では「うつ」によって仕事を辞めたり自殺したりするような人も多くいます。

そのため、中高年男性にとって「うつ」は予防すべきものの一つだといえます。

このような中高年男性に起こる「うつ」の原因の一つとして、男性ホルモンの分泌低下が挙げられます。男性ホルモンは、男女ともに脳を活性化させる働きがあります。そのため、中高年になって男性ホルモンの分泌が低下すると、注意力や集中力が下がります。

中高年男性で「うつっぽい」「注意力や集中力がさがってきている」と感じている人は、そのような症状は、男性ホルモンが低下したことが原因である可能性があります。

そのように、少しでも「うつっぽい症状」がある場合は、早めに対処することが大切です。そして特に精神科に行っても症状が改善されないような人は、男性ホルモンの低下が影響しているかもしれません。

今回述べたように、男性ホルモンの低下は体にさまざまな症状を引き起こします。多くの人が意識している勃起不全(ED)だけでなく、これまで挙げてきた「異常発汗」や「うつ」などが認められる人は、男性機能(生殖機能)が落ちていることを疑ってください。そしてそのような場合は、早めに対処することが重要になります。

中高年者の多くが悩む頭髪とED(勃起不全)の関係性

中高年男性において、頭髪と男性機能(生殖機能)の2つは、多くの人が抱える悩みです。男性は女性と比較して、髪の毛が薄くなりやすいため、歳を重ねるごとに禿げる人が増えてきます。

また、そのような中高年男性では、ED(勃起不全)という男性機能(生殖機能)の問題を抱えている人も少なくありません。

頭と生殖器の問題という全く別の場所に起こることであるため、この2つには関係性がないと考えている人がほとんどだと思います。しかし実際には、薄毛(ハゲ)とED(勃起不全)には深い関係があります。

そのことを理解しておかないと、「どちらかの治療を行っているともう一方が悪化する」といったことになりかねません。

男性ホルモンと頭髪の関係性

「男性ホルモンが多い人は禿げやすい」「薄毛の人には精力が強い人が多い」という話は、誰もが一度は聞いたことあるものだと思います。これはただの俗説と考えられがちですが、実際に男性ホルモンと頭髪には関係があります

男性ホルモンの一種である「テストステロン」と呼ばれるホルモンがあります。そしてテストステロンには、皮脂の分泌や毛の元となる細胞の分裂を促進する作用があります。

これだけ聞くと、テストステロンの分泌が多くなると、髪の毛はフサフサになるような印象を受けるかもしれません。ただ、このテストステロンがさらに活性化されると、「ジヒドロテストロン(5α-DHT)」と呼ばれる強力な男性ホルモンが生み出されます。

このジヒドロテストロンが、髪の原料となるタンパク質の合成を阻害したり、皮脂を過剰に分泌させて毛穴を詰まらせたりすることで、頭髪に悪影響を与えます。

そして、ジヒドロテストロンの影響を受けやすい場所が頭頂部と前頭部です。側頭部や後頭部は、ジヒドロテストロンによるタンパク質合成の阻害や、皮脂の過剰な分泌といった作用を受けにくくなっています。

中高年男性が悩まされる薄毛(ハゲ)は、このようにジヒドロテストロンの影響を受けるために、頭頂部や前頭部だけが薄くなります。

以上のように、男性ホルモンであるテストステロンが過剰になると、頭髪は薄くなりやすいといえます。

男性ホルモンとED(勃起不全)

男性ホルモンが低下すると、ED(勃起不全)になりやすいというのは想像しやすいことだと思います。ただ実際に、男性ホルモンが勃起とどのように関係しているかを知らない人は多いです。

勃起を引き起こすためには、視覚や聴覚から入る性的な刺激が必要です。性的刺激を脳が受け取ることで、脳内で性的興奮(指令)が作られます。

そのような性的興奮が、背骨の中にある「勃起中枢」に送られることで、ペニスに情報が伝わります。そしてペニスが興奮刺激を受け取ることで、ペニスは勃起します。

勃起はこのようなメカニズムで起こりますが、テストステロンは脳内で性的興奮を作る過程に関係しています。テストステロンの量が充分でないと、脳内で性的衝動が作られません。その結果、勃起中枢に性的興奮の情報が伝わらないため勃起が起こりません。

男性ホルモンであるテストステロンは、このように勃起と関係しています。

つまり、勃起をするためには男性ホルモンが必要不可欠ですが、テストステロンが過剰になると薄毛(ハゲ)になる可能性が高いといえます。実際に、「薄毛(ハゲ)に対する薬を飲んでいると、ED(勃起不全)になってしまった」ということもあります。

そうならないためにも、まずは頭髪と男性機能にはこのような関係性があることを知っておくことが大切です。

今回述べたように、頭髪と男性機能には、このように「男性ホルモンと相反する関係性」を持っています。男性ホルモンが多いと精力は高いけれども薄毛(ハゲ)になりやすいです。逆に男性ホルモンが少ないと、髪は薄くならないけれども精力が低くなってしまうのです。

男性ホルモンは、頭髪と男性機能(生殖機能)に対してこのような影響を与えるということを理解しておきましょう。