中高年男性の中には、メタボリックシンドロームで悩んでいる人が多くいます。メタボリックシンドロームは、体の健康に関して良くないことはもちろんのこと、見た目にもさまざまな問題を引き起こします。

このようなメタボリックシンドロームと診断される人は、40歳を過ぎたあたりから急に増えはじめます。この中高年と呼ばれる年代では、いわゆる「メタボ腹」と呼ばれるポッコリお腹の人が多くなります。

メタボ腹になる原因には、食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足などの生活習慣がよく挙げられます。しかし実はそれだけではなく、男性ホルモンの分泌がメタボリックシンドロームに関係していることが明らかになっています。つまり40歳を過ぎると、メタボリックシンドロームと男性機能(生殖機能)低下という2つの大きな問題が同時に現れてきます。

そのため、特に40歳を過ぎた男性にとっては、男性ホルモンの分泌低下を防ぐことが健康のためには欠かせないことになります。これによって、ED(勃起不全:インポテンツ)を防げるようになります

そこで今回は、メタボリックシンドロームと男性機能・ED(勃起不全)の関係性について述べていきます。

メタボリックシンドロームとは

メタボリックシンドロームとは、中高年男性に多い「内臓脂肪型症候群」のことをいいます。臀部(おしり)や上腕といったような女性において付きやすい皮下脂肪ではなく、内臓の周りに脂肪が蓄積することが特徴です。

また、メタボリックシンドロームは「症候群(シンドローム)」といわれるように、問題は内臓の脂肪だけではありません。高血圧や糖尿病、脂質異常症など、いくつかの病気が重なっている状態になります。

そのため、ポッコリお腹といった見た目の問題はもちろんのこと、動脈硬化が起こりやすい状態です。

いわゆるメタボ腹の状態であると、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの病気を発症しやすくなります。これら糖尿病、高血圧、脂質異常症はどれも「動脈硬化を引き起こし、血管の弾力性を失わせる」という作用で共通しています。

動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞などを発症させるきっかけになります。つまり、メタボリックシンドロームと診断された人は、そのような大きな病気の予備軍ということができます。

メタボリックシンドロームは、「腹囲が基準値(男性85センチメートル、女性90センチメートル)以上」ということに加えて、以下の3項目中2つ以上に当てはまる場合にも診断されます。

・中性脂肪(トリグリセライド)値が150㎎/dl以上、もしくはHDLコレステロール値が40㎎/dl未満

・収縮期血圧が130mmHg以上、もしくは拡張期血圧が85mmHg以上

・空腹時血糖値が110mg/dl以上

このような基準に引っかかると、メタボリックシンドロームとなります、

男性ホルモン(テストステロン)とメタボの関係性

男性は30代を過ぎてくると、急にお腹がポッコリ出てくる人が増えてきます。そのような人たちは、食事や運動量は20代と変わらない生活をしているのに、急な体型の変化が起こります。

確かに、お酒を飲む量が増えたり甘いお菓子を食べる機会が増えたりすると、このようにお腹周りの脂肪が増えて太ります。ただ、30~40歳代の男性に起こるこのような体型の変化は、そのような問題だけではありません。実は、男性ホルモン(テストステロン)の分泌低下が原因となってこのような現象が起こります。

男性ホルモンは、中性脂肪やコレステロールを原料として作られます。つまり、テストステロンが多く作られると、たくさんの中性脂肪やコレステロールが消費されることになります。その結果、血液中の中性脂肪が減るため、内臓に蓄積する脂肪量も少なくなります。

逆に男性ホルモンの分泌が少なくなると、血液中の中性脂肪やコレステロールは過剰になってしまいます。そうなると、内臓脂肪が蓄積されてポッコリお腹になります。

また内臓脂肪が増えると、男性ホルモンの分泌を低下させることも明らかになっています。つまり、「男性ホルモンが少なくなる → 内臓脂肪が蓄積する → 男性ホルモンの分泌が阻害される」という悪循環に陥ります。

こうした悪循環にならないためにも、たとえ中高年であっても精力を維持することが大切だといえます。

肥満によってED(勃起不全)を生じる

このように、メタボリックシンドロームはさまざまな病気の原因になります。また、男性機能(生殖機能)の低下はメタボリックシンドロームを引き起こす大きな要因になります。そのため、見た目や体の健康のために、精力を維持することは非常に重要だといえます。

それでは、どのようにして男性ホルモン(テストステロン)の量を増やせばいいのでしょうか。テストステロンはEDとも深く関係しているため、男性ホルモンを改善すれば、肥満と同時に勃起不全も治療できるようになります。

日本の中高年男性において、ED(勃起不全)は大きな問題です。ただ中高年というと、ED(勃起不全)だけでなく、その他にもメタボ腹によるさまざまな体の不調が現れてくる年代です。

それでは、なぜ肥満が勃起障害を引き起こすのかについて、より詳しく確認していきます。

ED(勃起不全)と肥満の関係性

「太っている男性は男性機能が低い」という話を聞いたことがあるのではないでしょうか。このことは、ただの憶測のように感じますが、実際に研究で明らかになっています。

アメリカでの研究ですが、40~70歳の男性において「BMI(Body mass index)」と呼ばれる肥満指数とED(勃起不全)の発症リスクに関係があることが明らかになっています。

BMIは身長と体重から算出されて肥満度を表すものですが、BMIが高ければ高いほどED(勃起不全)のリスクも高くなったと報告されています。

アメリカで行われた医療従事者によるフォローアップ研究によると、「BMI23以下(身長170cmの男性であれば、体重66.5kg以下)の群」と「BMI30以上(身長170cmの男性であれば、体重86.7kg以上)の群」を比べたところ、BMI30以上では将来EDになる確率が1.7倍高くなったことがわかっています。

参考:ED診療ガイドラインより作図

また、BMIの値が増加するにしたがってインポテンツとなるリスクが高まり、勃起不全に悩まされるようになることも明らかになっています。

このことには、体重増加の背景にある生活習慣の問題が関係しています。

ED(勃起障害)が起こる1つの原因として血流障害があります。肥満傾向にある人のほとんどは生活習慣が崩れており、「動脈硬化」や「脂質代謝異常」といったような血流が悪くなっている状態になっています。

このように、肥満の人は血流に問題がある人が多いため、結果的にED(勃起障害)を発症しやすくなるといえます。

肥満で病気を併発させると、さらにインポテンツになる

肥満によってメタボ腹であると糖尿病、高血圧、脂質異常症などの病気を発症しやすくなることは誰もが知っています。こうした病気を発症して血流が悪くなったとき、特にチンコの血管で影響が表れて勃たなくなるようになります。

脳や心臓の血管に対してペニスの血管は細く、そうした細い血管ほど動脈硬化の影響を受けやすく、EDになるのです。

実際、生活習慣病を発症することによってどれだけ勃起不全を引き起こすのかについて調査された研究があります。

平均年齢44歳の中年男性を対象にした研究ですが、これによると「健常人男性に比べて、EDの発症しやすさは高血圧で2.0倍、糖尿病患者で5.9倍、心臓病で6.5倍」であったことがわかっています(Y Naya et al. Urology 62 (3), 532-536. 9 2003 より)。

なぜ、心臓病でそれだけ勃起不全を発症する確率が高いのかというと、すでに動脈硬化が進行しているからです。

糖尿病や高血圧などは動脈硬化のリスクとなりますが、どれだけ動脈硬化が進んでいるのかは人によって大きく異なります。例えば、糖尿病を発症して1ヵ月目の人ではそこまで糖尿病が進んでいないものの、一方で糖尿病10年目の人は動脈硬化が進行していると推測できます。

糖尿病や高血圧などの生活習慣病を発症しているとはいっても、症状の進行具合はバラバラです。

一方で心臓病(狭心症や心筋梗塞など)ではどうかというと、動脈硬化が進行していないと基本的に心臓病を発症しません。つまり、心臓病の人はそれだけ血管の弾力性が失われているといえます。

心臓病では、心臓の血管が障害されています。前述の通り、ペニスの血管は心臓に比べて非常に細いです。心臓の血管に動脈硬化が起こっているということは、チンコを流れる血管にも動脈硬化を生じ、結果としてEDになっていると推測できます。こうして、朝立ちがなかったりセックス中に中折れしたりするのです。

ちなみに、この調査では「30代男性、40代男性、50代男性」をそれぞれ比べて、年齢によるEDのリスクも調査しています。これによると、加齢によって勃起不全を生じるリスクは1.8倍だということがわかっています。つまり、30代から50代になると、EDリスクが約1.8倍になります。

ただ、加齢だけでなく肥満によって糖尿病や高血圧などの生活習慣病を発症させると、さらにインポテンツに悩まされるようになるのです。

肥満でEDを発症した場合の対策法

それでは、メタボリックシンドロームになってしまったぽっこりお腹の人はどのような対策を取ればいいのでしょうか。

肥満でEDの人がとるべき改善法はやはり「減量」です。ただ、ダイエットをしてやせるとはいっても、簡単ではないことは本人が一番よくわかっています。

そこで、厳しい食事制限や運動なしに無理なくやせることができ、結果として勃起障害を改善させる方法について確認していきます。

ゆるい食事制限を実施する

私もかつてはお腹が出ており、いわゆるメタボでした。私の父親や兄もメタボであり、どうやら私の家系には「少し油断するとメタボになる遺伝子」が備わっているようです。当然、肥満であると勃ちも悪くなります。

ただ、夜まで仕事をしているのでなかなか運動の時間は取れません。また、夜の楽しい食事を我慢するのは無理ですし、同僚から飲みに誘われたらフラフラとついていって「シメのラーメン」まで食べてしまいます。しかし、ダイエットをしてやせた体は手に入れたいです。

そこで、どのようにしたかというと「ゆるい食事制限」を実施しました。ダイエットで失敗する一番の原因は「運動に比重を置きすぎて頑張る」ことであるため、食事をコントロールするしかありません。ただ、おいしい夕食や飲み会を我慢できない以上、私の場合は朝食と昼食の量を少なくするようにしました。

具体的には、朝食をヨーグルトだけにしました。スーパーなどで売っている、以下のような小さいヨーグルトを食べています。

それまで、私はご飯つきの一般的な食事をとっていました。ただ、それをやめて簡単なものだけにしたのです。もちろん、毎朝ヨーグルトだけでは飽きるため、ミカンゼリーやプリンなどに変えることがあります。

他には、以下のようにオレンジだけの日もあります。いずれにしてもこうした朝食だけにします。

また、昼食は定食屋や牛丼チェーンなどに行って食べたり、コンビニ弁当を買ったりするのをやめました。これらはお腹いっぱいまで食べることができるほど量が多いためです。

そこで、サンドイッチ2つなど簡単な昼食にとどめることにしました。

まさか自炊するほど器用ではないため、弁当をつくるわけにはいきません。そこで、サンドイッチなど簡単なものを買って昼食にするのです。

その代わり、夕食や同僚から誘われた飲みなどは我慢せずに食べたり飲んだりすることにしました。夜はトンカツや天ぷら、唐揚げなど脂っこいものを食べても気にしないようにしました。

ダイエットしてやせると、朝立ちが復活してEDが改善する

こうした生活に変えて1ヵ月ほど経過したら、特に運動をしていたわけでもないのに私のお腹は誰からもわかるほどへこむようになりました。もちろん、まだまだ肥満であることには変わりないものの、体重が1.3kgほど減ったのです。

これを継続して3ヵ月ほどすると、無理なく減量して大幅にやせることに成功しました。それまで私は、外見上は普通であるもの、服を脱ぐとぽっこりお腹がのっていて軽度の肥満を気にしていました。こうしたお腹の出っ張りがなくなったのです。

運動をしていないので筋肉質ではないものの、少なくともメタボ腹とはお別れすることができました。

それまで、私は朝食も昼食もガッツリと食べていたので、その分のカロリー摂取を大幅に抑えることができています。夕食でたくさん食べても体重が減っていったのは、朝食と昼食の内容を見直したからだといえます。

当然、この食事スタイルはずっと継続しています。朝立ちの回数は多くなり、それまで多かった中折れの回数もかなり減りました。

ちなみに、私の友人にもダイエットに挑戦してやせた人がいて、その人は体重を半年で15kgも落としたのですが、「それまで全くなかった朝立ちが復活した!」と喜んでいました。

精力をつける食事も重要

このようにして、ゆるい食事制限によって徐々にやせることに成功したわけですが、肥満体質でメタボ腹の人では、精力をつける食事も意識しましょう。

例えば、精力のつく食事として最も有名なものとして牡蠣があります。牡蠣には亜鉛が豊富に含まれており、精力剤として牡蠣が活用されているサプリメントもあるほどです。他には、豚肉やレバーなども精の付く食事です。

こうした食べ物は居酒屋に行けばたくさんあります。私の場合、同僚から飲み会に誘われたときフラフラと付いていくとはいっても、意識してこれら精のつく食べ物をたべていました。例えば、カキフライなどを頼んで牡蠣から亜鉛を摂っていました。

もちろん、これら食事内容を変えることに加えて運動をしたり、筋力を高めたり代謝を促したりすれば、より効果的にダイエットすることができます。

ただ、肥満解消するときに運動が嫌いであったり、時間を取れなかったりする人は多いです。そうした場合、私が実践したみたいに食事内容だけ気を付けても問題ありません。やせるだけで勃起力が回復するため、メタボ腹の人は「ゆるい食事制限」によって減量を検討してみましょう。

安易なダイエット薬は禁物

私の経験上、最も手っ取り早く楽に肥満解消する方法は食事内容を変えることです。いくら飲み会で食べ歩いたとしても、朝食と昼食をコントロールすれば問題ありません。

ただ、中にはやせるためにダイエット薬に頼ろうとする人がいます。しかし、こうした薬にまで頼ってやせようとするのは危険です。副作用の関係から、さまざまな問題が起こるからです。やせ薬としては、例えば以下のようなものがあります。

・マジンドール:食欲抑制剤

肥満解消の薬として最も有名なのは、マジンドールだといえます。1992年に承認され、国内で販売されています。食欲を抑える作用があり、食事量を減らすことでダイエットを補助します。

ただ、口渇(口が乾く)、便秘、悪心・嘔吐、睡眠障害などの作用があるだけでなく、脳を覚醒させる働きをもつので精神依存を形成することが知られています。イヌを用いた実験でも、22ヵ月の投与で幻覚などの異常行動が確認されています。

・ゼニカル:油の排出促進

食事で摂取した油のうち、約30%を便として排出するようにする薬がゼニカルです。通常であれば、油は腸から吸収されて体内で脂肪になります。

そこでゼニカルを服用すれば、腸からの油の吸収が阻害されるようになります。油が腸から吸収されなくなった結果、うんちと一緒に油が排出されるようになるのです。

ダイエット薬の中では副作用は少ないほうですが、下痢に悩まされることになります。また、ビタミンは油と一緒に吸収されるため、体に必須となるビタミン類が不足して、やせても不健康になる可能性があります。

・スーグラ:糖分の排出促進

専門用語で「SGLT2阻害薬」と呼ばれる糖尿病治療薬にスーグラがあります。

この種類の薬(SGLT2阻害薬)はスーグラのほかにも、フォシーガやルセフィなど多くの種類はあります。ただ、SGLT2阻害薬の中でもスーグラが一番最初に承認・発売されたので、スーグラが最も有名です。

スーグラは血液中の糖分を尿として排出させるような作用があります。糖分(ブドウ糖)は栄養であるため、糖分が体外に排泄されるほど体はやせるようになります。実際、スーグラの臨床試験では、スーグラ50mgを16週服用したところ、2.31Kgの体重減少が認められています。

ただ、糖尿病の人がスーグラを使用するのであれば問題ありませんが、そうでない人がスーグラを服用すると重大な副作用である低血糖を招く恐れが高く、非常に危険だといえます。

健康的にやせて、肥満とEDを解消するのが最適

このように考えると、ダイエットするときは食事を調節して健康的にやせて、薬には頼らないようにするのが最適だといえます。

ただ、「薬に頼らない」とはいってもバイアグラ、レビトラ、シアリスなどの勃起改善薬を使用することはよくあります。これら勃起改善薬ならまだよいですが、ダイエット薬はいろいろ副作用の面で問題があるので頼らないほうが無難です。

また、肥満であるために「勃起したときの固さが足りないと感じていたり、朝立ちが少ないことを実感したりしている場合」は減量を検討しましょう。体重が減れば糖尿病や高血圧などの生活習慣病とも別れることができ、勃起不全から回復して夜の生活で女性を大いに喜ばせることができるようになります。

男の自信を回復させ、中折れを防ぐなど、ED治療の特効薬の一つがやせることです。特に40代以降の中高年男性では肥満体質の人が多いため、勃起力・持続力を回復するためにやせましょう。

もちろん、20代や30代など比較的若い人であっても肥満はEDを招くことになるため、ダイエットの継続が必要です。食事内容を少し見直し、ゆるい食事制限を実施するだけで勃起力が見違えるように回復します。