中高年男性に多い悩みの1つに、ED(勃起不全)があります。ED(勃起不全)は男性ホルモンの分泌が悪くなったり、動脈硬化などによって血流が悪くなったりすることで起こります。

そして、そのような男性ホルモンの分泌低下や動脈硬化は、加齢によって起こりやすくなる問題です。そのため、それらが原因で生じるED(勃起不全)が発症した人の多くは、「年だから仕方がない」と諦めます。

しかし、加齢はED(勃起不全)の1要因であって原因ではありません。70歳を過ぎても勃起をする人がいるように、年を取っても必ず勃起機能が低下するということはありません。逆に、30代であっても勃起機能に問題がある人はたくさんいます。つまり、ED(勃起不全)を引き起こす誘引となるものは年齢以外にもあるといえます。

その中でも大きな要因となるものが、食生活の不摂生です。食生活の乱れは腸内環境を悪くします。そして、腸内環境の悪化は結果的にED(勃起不全)の発症につながります。

そこで今回は、腸内環境とED(勃起不全)の関係性について解説します。

腸内環境について

腸内環境とは、腸内に生息する腸内細菌のバランスによって作られる腸内の状態を指します。腸内環境を形成する腸内細菌は、人が健康に生活する上で欠かせないものであり、「第3の臓器」とも呼ばれています。

腸内細菌には、主に以下のような働きがあります。

・病原菌の排除

・発がん物質の分解

・ビタミン合成

・蠕動(ぜんどう)運動の活性化

・免疫向上

このように、腸内細菌は体の健康に大きく関わっています。腸内環境が整っていることで、腸内細菌は以上のような働きを十分に果たすことができます。そして腸内環境は、腸内細菌が適切なバランスを保つことによって良好なものとなります。

腸内細菌には、腸内に良い働きをする「善玉菌」と、逆に腸内環境を悪化させる「悪玉菌」、善玉菌と悪玉菌の多いほうに見方をする「日和見(ひよりみ)菌」の3つがあります。これらが適切なバランスを保つことで、腸内環境は整います。具体的には、「善玉菌:悪玉菌:日和見菌 = 3:1:7」が最もバランスが取れた状態だといわれています。

そして、過剰なストレスや大量の飲酒や喫煙、運動不足といった生活習慣の乱れによって腸内環境は悪くなります。このような腸内環境の悪化が、さまざまな病気の発生に関係しています。

ED(勃起不全)と腸内環境の関係性

腸内環境の悪化は、ED(勃起不全)とも関係しています。腸内環境が悪くなると、結果的にED(勃起不全)を発症することにつながります。

通常、勃起をするためには、体がリラックスしている必要があります。緊張する場面などでは、勃起は起こりません。そして、体をリラックスさせるためのホルモンの1つに「セロトニン」があります。

セロトニンは脳内にあるホルモンの一種であり、ストレスや興奮、不安といった精神的な緊張を抑えて、気持ちを落ち着かせる作用があります。そのため、セロトニンが分泌されると、体がリラックスして勃起が起こりやすい状態となります。

このように勃起をするために必要なセロトニンは、脳内に存在します。そして、セロトニンを作るための材料は、食事から取り入れた栄養素から腸内で生成されます。そのようなセロトニンの原料を生成し、脳内に送り込む役割を担っているのが、腸内に存在する善玉菌です

つまり、腸内環境が整っておらず善玉菌が少ない状態では、脳内にセロトニンの材料が十分に送られません。そのため、脳内におけるセロトニンの合成が不足して、体はリラックスしにくくなります。その結果、勃起しにくくなりED(勃起不全)を発症しやすくなります。

リーキーガット症候群とED(勃起不全)の関係性

このように、腸内環境の悪化はED(勃起不全)を発症する大きな要因となります。そのため、ED(勃起不全)を予防するためにも、生活習慣を見直して腸内環境を整えることは大切だといえます。

また、腸内細菌とEDの関係は病気からも分かります。男性機能(生殖機能)の低下を招く問題の1つに、「リーキーガット症候群」があります。リーキーガット症候群とは、「腸に穴が空き、腸の栄養吸収機能が悪くなっている状態」をいいます。

リーキーガット症候群は、精力と大きく関係しているのです。

リーキーガット症候群とは

人の腸には、腸内に入ってきた食べ物から栄養素を吸収したり、腸に侵入したウイルスなどの異物が血液中に入らないようにしたりする役割(防衛作用)があります。そして、腸内の監視役をしているのは腸内細菌です。

人間の体は、腸内細菌のおかげで体に必要な栄養素を取り込んだり、体にとって不要なものの侵入を防いだりすることができています。

吸収された栄養素は、筋肉や皮膚、内臓といった構造物の材料となります。また、栄養素からエネルギーを産生することで、心臓の活動や筋肉の収縮、内臓による消化といった体の働きを維持しています。

前述の通り、体の健康を維持するためには、腸内環境が整っていることが必須であるといえます。

そして、「腸内環境が良好である」とは、「腸内細菌のバランスが整っており、栄養吸収と異物からの防衛作用が適切に働いている状態」を指します。

肉や砂糖の食べ過ぎなどのように食生活が乱れると、腸内細菌のバランスが崩れて腸内環境は悪くなります。その結果、腸の壁に穴が空いて、腸は本来の栄養吸収と防衛の役割を果たせなくなります。このような状態が、リーキーガット症候群になります。

そしてリーキーガット症候群は、男性機能(生殖機能)の低下と大きく関係しています。

リーキーガット症候群ではED(勃起不全)を生じる

リーキーガット症候群になると、食べ物から適切な栄養素が吸収できないだけでなく、本来は血液中に入るべきでない異物が血液の中に侵入します。

男性機能(生殖機能)は、男性ホルモンである「テストステロン」が適切に分泌されることで、正常に機能します。そして、テストステロンをはじめとするホルモンは、食事から吸収される栄養素を元に作られます。

そのため、リーキーガット症候群によって腸内から適切に栄養素を吸収できていないと、テストステロンを作る材料が不足します。その結果、テストステロンの合成量が少なくなり、精力が低下します。

また、男性機能(生殖機能)が正常に働くためには、十分な血液が必要です。特に勃起は、ペニスに大量の血流があることで起こります。

リーキーガット症候群になると、本来は血液中に入らないような未消化である大きな分子まで侵入します。その結果、血液がドロドロの状態となり、血流が悪くなります。そうなると、ペニスへの血流量も不足するため、勃起が生じにくくなります。

このように、リーキーガット症候群になると、精力は低下しやすくなります。

今回述べたように、中高年における男性機能(生殖機能)の低下には、食生活の不摂生が大きく関係しています。食事の乱れはリーキーガット症候群を引き起こして、男性機能(生殖機能)に悪影響を与えます。

特に男性の方は、先ほど述べたような、食生活の不摂生で起こるリーキーガット症候群と精力の関係性を理解しておきましょう。