日本において、不妊に悩まされている夫婦はたくさんいます。このような問題は、自分たちが同じような状況にならないと気付かないものです。実際に子作りを始めてから、不妊や流産といったことで子供ができにくい人が思ったより多いことを知ります。

そして、そのような不妊に悩む人の多くは女性側に問題があると考えます。そのため子供ができない夫婦の大半は、女性が病院に行って検査をします。

ただ、不妊の約半数は男性側に原因があります。そのため、いくら女性の体を検査しても異常が見つからないことも少なくありません。つまり、子供ができない場合は、男性側の体も調べることが大切だといえます。

そこで今回は、男性側が原因でおこる不妊の一要因となる、精子の年齢による変化について述べます。

高齢化する出産年齢

日本における第一子出生時の母親の平均年齢は、どんどん高齢化しています。具体的には、1975年には27.5歳であったものが、2012年には30.3歳になりました。

つまり、女性は30歳を過ぎてから第一子を出産するのが平均的になっているといえます。30歳以上での出産は、1992年までは高齢出産とされていました。それほど、第一子の出産年齢は高齢化してきています。

これは、男性でも同様のことです。出産というと女性というイメージが強いため、女性の年齢が取り上げられがちですが、子供ができるということは相手がいます。出産する女性が高齢化しているということは、その相方である男性側も第一子の出産が遅くなっているといえます。

女性が高齢化すると子供を作ることができにくいことは多くの人が理解をしています。特に50歳を過ぎて閉経すると、子供ができないことは、成人であれば誰でも知っていることです。

年齢を重ねるごとに女性が妊娠しにくくなるのは、「卵子の老化」によるものだということがわかっています。閉経していなくても、高齢化するほど子供ができにくくなります。

そしてこのような卵子の老化は、男性側の精子でも起こることがわかっています。

精子は35歳から弱くなる

女性は閉経すると、子供ができないことは誰もが知っています。一方で男性は、射精ができる限りは生殖能力があると考えている人がほとんどだと思います。

しかし実際には、男性にも「精子の老化」を生じるため、いくら射精できても妊娠できないという状況になる可能性があります。

そしてそのような精子の老化は、だいたい35歳から始まるといわれています。もちろん個人差はありますが、ほとんどの人は35歳から精子の力が弱くなってきます。

これは、「精子機能検査」で調べることができます。精子機能検査とは、一般的に行われる「精液検査」とは異なるものです。精液検査では、精子の濃度と運動率、正常形態精子の率といった、精子の数と動き方や形態だけを調べます。これだけでは、精子による「妊娠させる力」はわかりません。

一方で精子機能検査では、精子の形態や機能から、どれくらい妊娠させる力、いわゆる「妊孕力(にんようりょく)」があるかを調べることができます。

妊娠は、精子が卵子の中に入り込み、受精し受精卵となった後、子宮に着床することで起こります。そのためには、精子が卵子の中に侵入するための力を持っている必要があります。それが精子機能検査で調べることができる妊孕力です。

その妊孕力が低下してくる年齢が35歳になります。そのため、もし子供を作りたいと考えている方は、35歳までに妊活することをお勧めします。

男性不妊症の原因

男性不妊症には、いくつかの原因があります。その中でも、精子に関係する問題とそれ以外の問題に分けることができます。

精子に関係する問題とは、精子の運動性が低かったり、精子の数が少なかったりする場合をいいます。一方でそれ以外の原因とは、よく知られる「勃起不全(ED)」や「射精障害」「性交障害」など、精子の量や質の問題ではないものが挙げられます。

ただ今回は、精子に関する問題に絞って解説します。

精子が原因で不妊となるケースとしては、「造精機能障害」と「精路通過障害」の大きく2つが挙げられます。前者は精子を作る機能に障害がある場合であり、後者は精子が射精されるまでに問題が生じるものです。

造精機能障害と精路通過障害の原因となる疾患を、以下に記します。

造精機能障害 ・特発性造精機能障害

・精巣静脈瘤

・染色体異常

・間脳下垂体異常

・抗がん化学療法後

・停溜精巣

・ムンプス精巣炎

・その他

精路通過障害 ・先天性両側精管欠損

・鼡径ヘルニア術後

・精管結紮後

このうち、約98パーセントが造精機能障害の人であり、その中でも約70パーセント以上の人が特発性造精機能障害と診断されます
造精機能障害の人は、精液検査の結果において「精子濃度」「精子運動率」「正常形態精子率」に問題があり、ほとんどのケースで3つ全てが低い値を示すことが多いとされています。そしてその中でも原因がはっきりしない人が、「特発性造精機能障害」と診断されます。

先ほど述べたように、男性不妊における全体の98パーセントが増精機能障害であり、そのうち約70パーセント以上が原因不明である特発性造精機能障害になります。

つまり、男性不妊の約70パーセント以上は原因がわからないものだといえます。

今回述べたように、日本でも男性不妊に悩む人は多くいます。そしてその内の約70パーセント以上の人は原因不明という状態です。そのため、男性不妊に関する問題は今後さらなる研究が求められるものだといえます。